「色の組み合わせが大事」とわかっていても、内装の色をどうやって決めればいいのか思い付かず、お困りのオーナーも多いかもしれません。この記事で色についてご紹介していきます。
色の特徴を掴む!色がお店の居心地に与える効果とは?
お客さんのお店や商品に対する印象は、店舗の内装に使われた色に委ねられます。つい足を運びたくなるような居心地のよいお店をつくるためにも、色が持つ心理的効果や「配色パターン」を使うメリットを知っておきましょう。
色にはそれぞれ心理的な効果がある
色には特定のイメージを連想させる心理的な力があり、身の回りの様々な場面で使い分けられています。店舗の内装に使う色を選ぶときは、「寒色と暖色」と「膨張職と収縮職」という心理的効果を知っておくと、理想の内装デザインに近づけることができます。
寒色と暖色
● 寒色…青系統の色。クールで冷静な印象を与える
● 暖色…赤や黄色系統色。温かく素朴な印象を与える
● 中性色…寒色にも暖色にも該当しない色。紫や緑など。
膨張色と収縮色
● 膨張色…膨らんで大きく見える色。白や暖色系の色。「進出色」とも呼ぶ。
● 収縮色…引き締まって小さく見える色。黒や寒色系の色。「後退色」とも呼ぶ。
特に、天井、床、壁のどこに膨張色と収縮色を入れるかによって、お店の見た目はがらっと変わります。例えば、天井に膨張色を使うと、部屋が高いように見えるため開放的な内装になり、収縮色を使えば天井が低く見えて落ち着いた雰囲気をつくることができます。
配色には「パターン」も存在する
色の組み合わせや相性を無視して自由に選んでしまうと、まとまりのない空間になってしまいます。バランスよく色を組み合わせて内装に統一感を出すためには、「配色パターン」を使いこなすことが重要です。配色パターンに則ってデザインされた内装は、多くの人に安心感を与えますので、お店や商品のブランディングにも繋がり、多くの人にお店を覚えてもらいやすくなります。
内装づくりを成功させる「配色パターン」を学ぼう
ご自身のお店に相応しい色使いを見つけるためにも、配色パターンとそれぞれの効果を知っておきましょう。
配色の定番パターンを駆使する
内装の配色イメージが湧かないという場合は、定番の配色パターンに当てはめながら色を選んでみると、今まで想像できなかった良いデザインを見つけられるかもしれません。以下は、代表的な配色パターンの例とそれぞれの効果です。
カマイユ配色
彩度や明度が近い似た色同士の配色。濃い赤と薄い赤など。シンプルに見えるが単調にならない。カマイユ配色より色の違いがややはっきりした「フォカマイユ配色」もある。
エステサロンからクリニックまで、さまざまな業種に使用可能。おしゃれだがインパクトが強すぎない内装にしたい場合におすすめ。
ドミナントカラー配色
近い色相(カラー)で統一する配色。単独の色が持つ効果が強く出るため、お店のコンセプトをはっきり伝えやすい。
美容室やエステサロンなどの美容系の業種やアパレル関係などにおすすめ。
ドミナントトーン配色
近い色調(トーン)で統一する配色。統一感が出るため店舗の内装に取り入れやすい。
色の組み合わせが自由自在のため、業種を選ばない。クリニックのように、おしゃれであるものの控えめな印象の内装が求められる業種に向いている。
ダイアード配色
色相環の真反対に位置する色(補色)同士の組み合わせ。赤と緑、オレンジと青など。効果的に使うとスタイリッシュな印象を与えられるが、不調和を生むリスクもある。
色の組み合わせ方が難しいため、業者と入念な打ち合わせが必要。業種は選ばないが、比較的若い層をターゲットにした店舗におすすめ。
トライアド配色
赤、緑、青など、色相環を三分割したときの頂点にある色の組み合わせ。一見まとまりがないようで安定感があり、おしゃれな印象を与えられるが、やや上級者向け。
インパクトが強く、おしゃれなイメージを押し出したい店舗におすすめ。アパレルや美容系など。
王道の「アースカラー」が失敗しない理由
アースカラーとは、土や緑を彷彿とさせる茶色や緑を取り入れた配色パターンです。カーキやブラウン、赤寄りの茶色などで構成されたアースカラーは、居心地の良い落ち着いた空間をつくりやすいため、大手飲食チェーン店でも使われています。また、アースカラーはレンガや木材などの内装材や観葉植物でも代用できるため、店舗の内装デザインに取り入れやすいと言えるでしょう。
ただし、アースカラーは白や黒などの差し色を入れなければ地味な印象になりやすく、赤や黄色などのはっきりとした目だってしまうなどのデメリットもあります。王道のアースカラーといえども、お店の雰囲気に適しているかしっかり検討したうえで取り入れましょう。
店舗の内装で色を効果的に使うポイント
店舗の内装に取り入れる色は、あくまでもお店の雰囲気にマッチしていなければ効果がありません。
オーナーの好みではなく客層に合わせた色使いを
お店に入るかどうか悩んでいるお客さんは、店舗の内装を見て最終的な判断を下します。
「居心地が良く長居できるお店だと知ってもらうために、茶色系やアースカラーで内装を統一しよう」「若者向けのお店だから、ポップな色使いにしよう」といった具合に、オーナーではなく、お店を訪れるお客さんの視点になって色使いを決めましょう。
店舗の内装の色を効果的に使うポイント
色は、店舗の業種によって多様な使い分けが存在します。例えば、飲食店では食欲を減退させる「青」は、座席付近の内装にはあまり使われず、オレンジや黄色、赤などの食欲を増進させる暖色系が積極的に使われます。かといって、あらゆるお店で青の内装がNGな訳ではなく、おしゃれなバーなどではカクテルやグラスが綺麗に見えるように、ブルーライトが効果的に使われることもあります。店舗に取り入れる色は、ご自身の業種と相性が良い色を選びましょう。
アクセントカラーをうまく使う
白を基調とした内装だと、無機質で簡素な印象を与える可能性があります。赤や青、黄、緑などの色をアクセントに取り入れましょう。そうすれば、白を基調としているのにおしゃれで個性的な印象を与えられます。アクセントカラーを取り入れたデザインは、子供から大人まで好まれやすい傾向があるため、店舗のコンセプトに合う場合は検討してみてください。
内装リフォーム業者によって色使いに個性が出る
「赤系のシックな内装で」と伝えても、暗いワインレッドの内装をチョイスする業者もいれば、彩度が強い真っ赤な内装を提案する業者もいます。店舗の内装リフォームを依頼する業者を選ぶときは、業者の過去のデザイン事例から色使いの癖や個性を調べておきましょう。